医療現場では、患者の持つヘルスリテラシーの違いが、治療への意欲やセルフケアなどに影響していることが理解されつつあります。そのため、患者のヘルスリテラシーを正しく評価し、その評価に基づき、患者とのコミュニケーションに柔軟性を持たせることが重要です。
ヘルスリテラシーはHLS-14という評価法を使い、3つの段階で判断できます。最初に考えたい機能的ヘルスリテラシーでは、基本的な読み書きに加え、医療関係の言葉の理解や、理解できない場合の対処方法を考慮します。次に伝達的ヘルスリテラシーでは、能動的に情報を探したり、他の人に伝達したり、自ら適応する能力を調べます。また、批判的ヘルスリテラシーでは、得られた情報を客観的かつ批判的に吟味し、主体的に活用する能力の程度を知ることができるでしょう。
患者のヘルスリテラシーが理解できたら、それぞれの患者に応じた対応方法を実践します。例えば、患者に治療に関するパンフレットを渡した後の診察の場面を考えます。ヘルスリテラシーが高く、情報収集を積極的に行う患者には、パンフレットの理解度や自ら情報収集した成果などをヒアリングしてみます。そして、理解できなかった部分を確認し、不明点を説明することで、患者がどんな治療を望むかを確認できるはずです。
情報の理解や他の人への伝達に困難を覚える患者には、記載された治療の効果や副作用について、医療者側から積極的に情報発信ができます。そもそも医療情報に関心が薄い患者には、何が関心のなさに繋がっているのかを探り出し、平易な言葉で丁寧に説明する必要があるでしょう。